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概要

2018鹿児島県臨床外科30巻

?15??15?APCを用いて焼灼し,出血がないことを確認し手術を終了した.手術時間は33分.出血量は少量であった(Fig. 2b,c). 病理組織学的所見:組織学的に,結節の大部分は成熟した脂肪組織で,辺縁を主体に気管支腺や導管を認めた.表層を線毛上皮ないし化生性の扁平上皮に覆われ,上皮下には帯状に平滑筋線維と膠原線維の増生が見られた.分割切除されていたため断端の評価は困難であった.病死組織学的診断はLipomatoushamartomaであった.(Fig. 3) 術後経過:術後出血などなく経過し,術後4日目に自宅退院となった.退院後は定期的にCT,気管支鏡で経過観察を行っている.術後6ヶ月目の気管支鏡検査では,腫瘍を切除した気管支壁は平滑な粘膜で覆われており,腫瘍の再燃は認めなかった(Fig. 2d).術後4年が経過し,再発を認めていない.考 察 肺過誤腫は病理学的には上皮系細胞と間葉系細胞が混在している良性腫瘍で,肺の良性腫瘍の中では最も頻度が高い.しかしそのほとんどは肺実質内に発生し,気管支発生は肺過誤腫のうちの1.4?2.0%と稀である1). 肺過誤腫は通常症状が出ることは少ないが,気管支内に発生した場合は肺炎や無気肺の原因となり症状が出やすい.Cosioらの報告によれば,気道内過誤腫47例のうち37%が繰り返す肺炎を主訴としており,23%に血痰,2.3%に繰り返す咳嗽といった症状があったとされている2).本症例も数年前から胸部の不快感,咳嗽を自覚しており,気管支炎や肺炎を繰り返していた. 粘膜下腫瘍の形態をとるEndbronchial lipomatoushamartomaは,繰り返す炎症がある場合には気管支粘膜が扁平上皮化生をきたし,気管支鏡下生検では診断に至らないこともある3).湯浅らは本邦62例の気管支内過誤腫の集計で,術前に確定診断が得られた症例は16例(26.7%)と報告している4).本症例も気管支鏡下生検では上皮で覆われた線維性組織しか採取されず,診断に至らなかった. 気管支閉塞により末梢肺が荒廃した症例や悪性腫瘍を否定できない場合,外科的な肺葉切除が行われることもある5).近年では呼吸器インターベンションであるレーザー治療や高周波スネア,ホットバイオプシーなどで治療されることも報告されている6)-9).堀尾らの報告では,手術例が60例,レーザーや高周波スネアを用いた切除が14例であり,手術よりも低侵襲で有用であるとしている6).我々も硬性鏡を用いて,高周波スネアで腫瘍を切除し診断をつけることができた. 前出のCosioらの報告では,47例の気管支内過誤腫のうち17例(47.2%)で硬性鏡下の腫瘍切除が行われた.これらのうち4例で再発を認め,追加切除を要したと報告されている2).インターベンションによる腫瘍切除は低侵襲ではあるが,局所再発の可能性もありFig.2 Bronchoscopic findings and removed tumora:pre operative findingsb:image after the interventionc:macroscopic view of removed tumord:bronchoscopic image 6 months latera bc dFig2.Bronchoscopic findingsand removed tumora: pre operative findingsb: image after theinterventionc: macroscopic view ofremoved tumord: bronchoscopic image 6months laterFig3.Microscopic findings ofremoved tumorFat cell, bronchial glands,smooth muscles andepithelium were seen. Thoselead to diagnosis oflipomatous hamartoma.Fig.3 Microscopic findings of removed tumorFat cell, bronchial glands, smooth muscles and epitheliumwere seen. Those lead to diagnosis of lipomatoushamartoma.術前CT所見により脂肪腫を疑い,インターベンションにて肺葉切除を回避したEndbronchial lipomatous hamartomaの一例