ブックタイトル2018鹿児島県臨床外科30巻
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2018鹿児島県臨床外科30巻
症 例?14?鹿児島県臨外会誌 30,14?16.2018緒 言 肺過誤腫は肺の良性腫瘍の中では頻度の高い腫瘍である.肺実質内に発生することがほとんどで,気管支発生はまれである.また粘膜下腫瘍の形態をとる気管支腫瘍では,気管支鏡下生検で診断がつかず,悪性腫瘍を否定できないために肺葉切除が選択される場合もある.今回我々は術前CT所見より脂肪腫を疑い,硬性鏡下に腫瘍を切除しEndbronchial lipomatoushamartomaと診断され,肺葉切除を回避した症例を経験したので報告する.症 例 症 例:74歳,女性. 主 訴:痰. 既往歴:肺炎,高血圧症,高脂血症,虫垂炎. 家族歴:特記事項なし. 生活歴:喫煙歴なし. 現病歴:数年前より右胸部の不快と咳,気管支炎を繰り返していた.5年前には肺炎にて入院加療を受けた.今回臍ヘルニアの精査目的に施行された胸部CTで,右肺下葉の無気肺と中間気管支幹の内腔を占める病変を認め,精査加療目的に当科紹介となった. 入院時現症:身長157.1cm,体重79.3kg,血圧130/78mmHg,脈拍71/分,体温36.6℃.頚部リンパ節,鎖骨上リンパ節は触知しなかった.呼吸音は正常で喘鳴や気道狭窄音は聴取されなかった.副雑音も認めなかった.腹部診察所見,神経学的所見には特記すべき異常は認めなかった. 入院時血液検査所見:炎症所見,低蛋白血症,貧血を示す所見はなく,肝機能,腎機能正常.腫瘍マーカーはCEA, CYFRA, NSEいずれも正常域であった.クオンティフェロン陰性で喀痰抗酸菌検査は塗抹,培養とも陰性.結核,MAC PCR検査も陰性であった(Table). 胸部単純レントゲン写真:右第2弓付近に線状影を鹿児島大学病院 呼吸器外科大 塚 綱 志 梅 原 正 永 田 俊 行 德 永 拓 也武 田 亜 矢 鈴 木 聡 一 上 村 豪 前 田 光 喜青 木 雅 也 横 枕 直 哉 狩 集 弘 太 佐 藤 雅 美術前CT所見により脂肪腫を疑い,インターベンションにて肺葉切除を回避したEndbronchial lipomatous hamartomaの一例認めた. 胸部CT:右気管支中間幹から下幹内腔に16x8mm,脂肪濃度の腫瘤性病変を認めた.中葉の過膨脹,下葉の無気肺を認めた(Fig. 1). 気管支所見:中間幹を閉塞する可動性良好,表面平滑なポリープ状の病変を認めた.生検鉗子による直視下生検を行ったが,悪性所見は認めず,確定診断には至らなかった(Fig. 2a). 手術:全身麻酔下に硬性気管支鏡を気管内へ挿入し,外套を留置した.腫瘍は右中間幹から下葉気管支に存在していた.広基性の病変で,スネアリングを2回行い切除することができた.気管支壁の切除断端はWBC 4830 /μL PT-I NR 0. 94RBC 404×104 /μL APTT 30. 2 secHb 13 g/dL Fi b 343 mg/dLHct 38. 1 % P-FDP 3. 4 μg/mLPl t 18. 2×104 /μL D-di mer <0. 5 μg/mLAST 22 I U/L CEA 1. 5 ng/mlALT 15 I U/L CYFRA 1. 5 ng/mlLDH 222 I U/L NSE 8. 7 ng/mlBUN 15. 9 mg/dLCr e 0. 88 mg/dL QFT ( -)Na 141 mmol /LK 4 mmmol /L 喀痰抗酸菌検査Cl 105 mmol /L 塗抹( -) , 培養( -)TP 7. 4 g/dL Tbc PCR ( -)S-Al b 4. 5 g/dL MAC PCR ( -)CRP 0. 03 mg/dLTabl e 1. Labor at or y dat aFig.1 CT imagesThe right intermediate bronchus was obstructed withintrabronchial tumor which showed fatty density.Table Laboratory dataFig. 1CT imagesThe right intermediate bronchus was obstructed with intrabronchial tumor which showed which showed fatty density.