ブックタイトル2018鹿児島県臨床外科30巻
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2018鹿児島県臨床外科30巻
腹腔鏡手術における細径鉗子と針糸を使用した術野展開の工夫?10??10?回腸末端部が右外側に引き上げられた(Fig.8d).考 察 腹腔鏡手術では,最良の術野で手術するのが理想である.通常の術野展開で展開が不十分な場合,トロッカーを追加してリトラクターを挿入する1)-3),ネラトンカテーテル4)やペンローズドレーン2)を腹腔内に入れて牽引に使用する,経膣的な鉗子使用5),経肛門的なリトラクター使用6)腹腔内に入れたフックによる吊り上げなどの方法7)が行われてきた.術野展開を改善しつつ,腹壁損傷が少なく低侵襲・整容性という課題をクリアするには,細径鉗子と針糸による術野展開が最良と考えている.当院では肝外側区域の挙上では肝十二指腸間膜の把持する部位を変更でき,常に最良の視野を展開できることから細径鉗子を使用する事が多い.横行結腸など腹膜垂がある部位で把持した腸管を左右に移動させながら展開する必要がある時は把持力が強いミニグリップを使用する.ただし,ミニグリップには針がついているので,強く把持する時は針先に注意が必要である.針糸は腹壁の侵襲を最小にできるが位置を変更したりする時に,再度針糸を使用して固定をやり直さねばならないという欠点がある.そのために一度固定し,術野展開したら移動させる必要がない状況で使用する.肝外側区域の挙上が困難な症例での0ニューロロンの横隔膜・食道裂孔・肝円索の3点固定,術野に移動してくる腸管を術野外に固定して動かさない様なケース,膵癌での胃の挙上などで使用しているが非常に有用である.針糸の固定の利点は固定された後,まったく余計な力が加わらないため,組織が引きちぎれたりすることがないことである.結 語 術野展開が不十分な手術症例での細径鉗子・針糸を使用した術野展開は低侵襲で整容的にも優れ,腹腔鏡手術を安全に施行するのに非常に有用である.文 献1) 関 英一郎,北村大介,秦 政輝: 腹腔鏡下直腸切除の際にネイサンソンレバーリトラクターを用いた術野展開の工夫.日本大腸肛門病会誌2016;64:326-3292) 中村一郎,伊藤誠二,三澤一成他:腹腔鏡補助下胃切除術における肝圧排法の検討.日消外会誌2012;45:583-5893) 田中淳一,石田文生,日高英二他:消化器癌手術における私の工夫 下部消化管腹腔鏡補助下直腸手術における新しい骨盤鉤EndoButterfly の有用性.日消外会誌 2003;36:8194) 福長洋介,東野正幸,西口幸雄他:腹腔鏡下手術におけるモノフィラメント糸とネラトンを使った直腸牽引と骨盤腔内視野展開の工夫.日本大腸肛門病会誌 2002;55:164-1655) 花井恒一,丸田守人,前田耕太郎他: 腹腔鏡下大腸手術における視野展開のための工夫.手術2003;57:615-6206) 朴成進,小嶋一幸,植竹宏之他:腹腔鏡補助下直腸前方切除術における骨盤内視野展開の工夫.手術 2006;60:607-6107) 坂本一博,田代良彦,永易希一他:腹腔鏡下直腸切除術におけるフック吊り上げ法による骨盤内の視野展開の工夫.日鏡外会誌 2001;16:223Fig.8直針によるS 状結腸時の骨盤内に垂れ込む小腸の固定acbd