ブックタイトル2015鹿児島県臨床外科27巻
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2015鹿児島県臨床外科27巻
〔鹿臨外会誌27巻〕3.18Ⅰ頸部・心血管-5-甲状腺癌における頚部中央区域リンパ節郭清に対する工夫鹿児島大学病院消化器・乳腺甲状腺外科1) Department of Breast and Endocrine Surgery,Kagoshima University2)なかのクリニック有馬豪男1)、中条哲浩1)、高江芳恵1)、喜島祐子1)、平田宗嗣1)、石神純也1)、中野静雄2) 1)、夏越祥次【背景】内視鏡手術における技術の確立・習熟、デバイスの改良と共に、対象臓器が広がっている。甲状腺疾患に対する内視鏡手術は、前頚部に手術創がなく整容上極めて優れた術式であり、適応も良性疾患から悪性疾患まで広がりつつある。当院でも2011年より甲状腺乳頭癌に対して前胸部アプローチによる内視鏡手術(video-assisted neck surgery;VANS法)を行っている。甲状腺癌に対する内視鏡手術には優れた整容性だけでなく、頚部切開と同等以上の根治性や同等以下の合併症率なども要求されるため、頚部リンパ節郭清が大きな課題となる。従来の前胸部や腋窩アプローチによる操作だけでは鎖骨や胸骨が妨げとなり、気管周囲リンパ節の郭清が十分にできないことが多い(図1)。しかし、頭側尾側方図1図2向(Cranio-Caudal view)から気管周囲の視野を確保することで、十分な気管周囲の郭清が可能となる(図2)。今回我々は、当施設で行っている甲状腺乳頭癌における頚部中央区域リンパ節郭清に対する工夫について報告する。【手術適応】穿刺吸引細胞診にて甲状腺乳頭癌と診断され、腫瘍径40mm以下(cT1-2)・甲状腺外浸潤:筋肉まで(cEx0-1)、リンパ節転移を認めない(cN0)症例。【術式】まず右前胸部(鎖骨より約5cm足側)を3cm切開する。左前胸部より5mm斜視硬性鏡を挿入し、キルシュナー鋼線を用いて頚部を釣り挙げて視野を確保する。右前胸部切開創からアプローチし、甲状腺葉切除/全摘術を行う。甲状腺摘出後、術者は頭側へ移動し、甲状軟骨上縁付近から5mmポート1本と2.4mm鉗子1本追加する(図3)。内視鏡を可変式10mm硬性鏡へ交換後、3cmの切開創から挿入し気管周囲を観察する。その際、画像反転装置を介することでCranio-Caudal viewの視野が確保可能となる。頭側から超音波凝固切開装置と内視鏡鉗子・鋏を用いて頚部中央区域リンパ節郭清を行う。甲状腺摘出及びリンパ節郭清に際して、自作筋鉤にて気管・前-5-