ActiBookアプリアイコンActiBookアプリをダウンロード(無償)

  • Available on the Appstore
  • Available on the Google play
  • Available on the Windows Store

概要

2015鹿児島県臨床外科27巻

-4-Ⅰ頸部・心血管〔鹿臨外会誌27巻〕3.18KIはバセドウ病手術前の前処置として1-2週間使用されることが多い。その目的は甲状腺機能の是正のみならず、甲状腺血流量を減少させるとともに血管脆弱性の是正が期待でき、術中出血量の減少が期待できるためである(3)。しかしその効果に懐疑的な意見もあり、藪田らによるとKI投与で45%の症例で甲状腺腫が10%以上増大したため、特に大きな甲状腺腫を有する症例ではKIは慎重に投与すべきと述べている(4)。バセドウ病治療においては抗甲状腺薬が使用できない場合や甲状腺クリーゼの症例など機能亢進下で手術を行う状況に遭遇することがある。本症例でも甲状腺機能がなかなか改善せず、甲状腺腫は著明に増大し手術延期により患者の精神的不安が限界であったため機能亢進下に手術に踏み切った。山下らは理学的に機能亢進症状がなく心拍数90回/分以下でFT3が10pg/ml以下であれば手術可能で術後クリーゼの経験はない(2)としているが、慎重な周術期管理が必要であることは論を俟たない。3)中村憲司,他:巨大甲状腺腫を有したバセドウ病の1例.日臨外会誌65(11),2848-2852,20044)Tomonori Yabuta,et a l; PreoperativeAdministration of Excess IodineIncreases Thyroid Volume of PatientswithGraves’Disease.EndocrineJournal56(3),371-375,2009結語巨大甲状腺腫を有するバセドウ病の一手術例を経験した。術前の甲状腺機能のcontrolや麻酔導入、自己血貯血など巨大甲状腺腫の手術時には綿密な周術期管理が必要とされる。文献1)バセドウ病治療ガイドライン2011.日本甲状腺学会,南江堂;P172)山下弘幸,野口志郎,他:巨大甲状腺腫のバセドウ病手術について.内分泌外科,19;3- 6,2002-4-