ブックタイトル2015鹿児島県臨床外科27巻
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2015鹿児島県臨床外科27巻
〔鹿臨外会誌27巻〕3.18Ⅰ頸部・心血管-1-〔一般演題〕Ⅰ頸部・心血管座長鹿児島大学大学院心臓血管・消化器外科学松本和久術前管理に難渋した巨大甲状腺腫を有するバセドウ病の1手術例社会医療法人天陽会中央病院甲状腺科渋谷寛はじめにバセドウ病に対する手術療法は治療の一選択肢であるが、巨大甲状腺腫を有する場合は周術期の管理に難渋することも少なくない。また大きな甲状腺腫は術後合併症にも及ぼす影響も大きくなる。今回、切除重量が463gと巨大な甲状腺腫を有したバセドウ病の1手術例を経験したので報告する。症例患者:20歳代、女性。主訴:頚部腫脹、手術希望。既往歴:喘息、高血圧症現病歴:以前から甲状腺腫を指摘されていたが自覚症状がないため放置していた。知人に勧められ2008年に近医受診しバセドウ病と診断された。抗甲状腺薬(Thiamazole)が開始となったが、夜間の仕事が多く服薬コンプライアンスが不良で通院も不規則であった。2012年11月に肺炎を併発し自宅で倒れているのを家人が発見し前医に緊急搬送入院となった。前医初診時身体所見:身長155cm、体重70kg、意識レベルJCS II-10、体温36.9度、脈拍119回/分、整、血圧171/86 mmHg、大きな甲状腺腫を認めた。臨床検査所見:白血球数20800/μl、CRP 4.29mg/dlと炎症所見が上昇していた。AST 44IU/l、ALT 37 IU/lと肝機能は正常であったがT.Bil 6.3mg/dlと上昇していた。甲状腺ホルモンはFreeT3(FT3)30.0 pg/ml以上、FreeT4(FT4)5.03 ng/ml、TSH 0.01μIU/ml未満と甲状腺中毒症を認め第一世代TRAbが75.3%と陽性であった。以上より甲状腺クリーゼと診断され人口呼吸管理下に集中治療室管理となった。幸いに入室5日目に意識清明となり、その後の経過も良好で後遺症なく自宅退院となった。以後は前医で抗甲状腺薬が継続投与され甲状腺機能は比較的安定していたが、2014年7月にFT3 30.0 pg/ml以上、FT4 2.21 ng/ml、TSH 0.01μIU/ml未満と再悪化し、甲状腺腫も大きかったことから内科的治療の限界と判断され2014年8月、手術目的に当院紹介初診となった。初診時身体・検査所見:Propylthiouracil 600mg内服下でFT3 22.38 pg/ml、FT4 1.24 ng/ml、TSH 0.01未満μIU/ml、thyrotoxicosisを認めた。また第3世代TRAb 40 IU/l以上と高値であった。抗サイログロブリン抗体39 IU/ml、抗TPO抗体587 IU/mlと甲状腺自己抗体が陽性で血中サイログロブリン1000以上-1-