ブックタイトル2015鹿児島県臨床外科27巻
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2015鹿児島県臨床外科27巻
〔鹿臨外会誌27巻〕3.18Ⅴ肝・その他-43-よりドレナージされていることが判明した。ちなみに門脈圧は16cm H20と軽度高値であった(図5)。は施行しなかった。おわりに肝切除においては、肝静脈支配領域の評価は注意すべきであり、特に肝中央2区域切除の場合、下右肝静脈の確認は重要である。術前の肝機能評価だけではなく、3次元画像により肝切除シュミレーションで、安全と限界のバランスを常に考慮しつつ、切除適応を評価することは重要である。利益相反:なし図5以上より術後肝不全の危険性を考慮し、肝切除を断念した。現在、当院肝臓内科で化学療法を施行中である。考察残肝容積許容量については、正常肝の場合、本邦では許容残肝容量の40%以上が一般的である1)-3)。しかし、本症例のように背景肝に問題のある症例は、その安全域をより大きく設定する必要があると考える。本症例において、中肝静脈処理による中央2区域手術で中肝静脈を処理した場合、S6がうっ血し、肝切除率は60%以上になり、肝volumetryによる計算上、残肝容積は38.5%となる。背景にある門脈圧亢進症や肝線維化を考慮すれば、術後肝不全に陥る可能性が高い。また、S6を静脈グラフトで再建できた場合には、残肝容積は60.5%となるが、早期にグラフトが閉塞した場合には、その結果は同じである。門脈塞栓術も考慮したが、肝外側区域の萎縮や肝線維化を考慮するとその効果は期待できないと判断し4)、門脈塞栓術文献1)Nagino M, Kamiya J, Nishio H, et al:Two hundred forty consecutive portalvein embolization before extendedhepatectomy for biliary cancer; surgicaloutcome and long-term follow up. AnnSurg 243: 364-372,20062)Sano T, Shimada K, Sakamoto Y, etal: One hundred two consecutivehepatobiliary resections for periheliacholangiocarcinoma with zero mortality.Ann Surg 244: 240-247, 20063)Shimada K, Nara S, Esaki M, et al:Extended hight hemihepatectomy forgallbladder carcinoma involving thehepatic hilum. Br J Surg 98: 117-123,20114)Kishi Y, Andalla EK, Chun YS, et al:Three hundred and one consecutiveextended right hepatectomies: evaluationof outocomes based on systematic livervolumetry. Ann Surg 250: 540-548, 2009-43-