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概要

2015鹿児島県臨床外科27巻

〔鹿臨外会誌27巻〕3.18Ⅴ肝・その他-41-Ⅴ肝・その他座長鹿児島大学大学院消化器・乳腺甲状腺外科学迫田雅彦肝切除における注意すべき肝静脈支配領域評価1)鹿児島大学大学院心臓血管・消化器外科学2)同放射線診断治療学3)同消化器疾患・生活習慣病学北薗巌1)、門野潤1)、基俊介1)、井上真岐1)、林完勇2)、永里耕平2)、玉井努3) 1)、井本浩はじめに肝切除における重篤な合併症に術後肝不全があり、これを回避するために術前の正確な肝予備能評価や、画像所見より得られる肝血流動態の評価が必要である。今回、肝静脈支配領域の評価が重要であった肝内胆管癌の1例を経験したので報告する。を認め、中肝静脈、前区域グリソン根部への浸潤が疑われた。手術適応につき当科紹介となった。入院時現症:身長167.5 cm、体重63kg、血圧123 / 79 mmHg、脈拍65 /分・整、体温36.2℃。結膜に貧血、黄染なし。体表リンパ節腫脹はみられなかった。腹部は平坦軟で、腫瘤は触知しなかった。血液検査所見:軽度の胆道系酵素の上昇を認めた。ヒアルロン酸とⅣ型コラーゲンは上昇し、腫瘍マーカーはCEA、CA19-9が高値を示した。ICG R15は16%であった(表1)。a症例患者:62歳、男性。主訴:特になし。既往歴:57歳~アルコール性肝硬変、2型糖尿病(インシュリン治療)。生活歴:飲酒:焼酎2合/日(今回の治療から禁酒)、喫煙:40本/日(20-35歳)。現病歴:5年前からアルコール性肝硬変を指摘され近医でフォローされていた。検診目的での腹部超音波検査で肝に腫瘤性病変を指摘され、CT・MRI・PET-CTにて肝内胆管癌が疑われた。肝S8に径44mm大の腫瘤性病変表1腹部CT検査:S8から一部S4にかけて、動脈相で造影効果が弱く、門脈相で遅延性に造影効果のある径38mmの多結節癒合型の腫瘤を認めた。腫瘍は中肝静脈と前区域グリソンへの浸潤が疑われた(図1)。右肝静脈はCT上はっきりと描出されなかった。-41-