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概要

2015鹿児島県臨床外科27巻

Table.2胆嚢捻転症本邦報告例〔鹿臨外会誌27巻〕3.18Ⅳ胆・膵-37-1.報告例69例8.捻転方向2.年齢6歳~97歳(平均:小児8.8歳、大人85.5歳)時計包交36例(52.1%)3.性差男14(20.3%)反時計方向31例(44.9%)女55(79.7%)不明2例(3.0%)9.捻転度4.BMI180度未満8例(11.5%)18.5未満32例(46%)180度17例(24.6%)18.5~25.011例(15%)270度9例(13.0%)不明26例(39%)360度30例(43.4%)5.主訴450度1例(1.5%)上腹部痛・右季肋部痛62列(89.8%)540度1例(1.5%)下腹部痛7例(10.2%)720度1例(1.5%)嘔吐21列(30.4%)不明2例(30%)3.0%)6.正診率10.PTGBDの有無胆嚢捻転症53例(76.8%)あり5例(7.2%)急性胆嚢炎14例(20.2%)なし61例(88.4%)虫垂炎2例(3.0%)PTGBA3例(4.4%)7.Gross分類11.治療GrossⅠ型30例(43.4%)腹腔鏡下胆嚢摘出術31例(44.9%)GrossⅡ型37例(53.6%)開腹下胆嚢摘出術37例(53.6%)不明2例(3.0%)PTGBDにて保存的加療1例(1.5%)Table.2胆嚢捻転症本邦報告例(Table2)、本症例もそうであったが、痩せて腰が曲がった高齢女性(老人性亀背)に多いようである。Gross分類、捻転方向、捻転度に関しては、特に有意な差は認めなかった。治療方法としては、約半数の症例で腹腔鏡下胆嚢摘出術がなされていた。治療方法に関しては、胆嚢摘出術が第一である。全身状態が許せば腹腔鏡下にて施行することができる6)。遊走胆嚢が背景にあるため、胆嚢床の面積が小さく捻転を解除すれば胆嚢床および胆嚢管の剥離操作をほとんど必要とせず、比較的安全かつ容易に胆嚢摘出を施行できるとされている。ときに、診断目的で、高齢者やショック状態の症例でPTGBDを一時的に施行することがある。本症例に関しては、さきほど記したように、術前に胆嚢捻転症の診断はついていたので、本来であれば全身麻酔下で胆嚢摘出術(腹腔鏡下)を考えるところであるが、超高齢者でSIRSの状態であったために、最初は局所麻酔下にて傍腹直筋切開で胆嚢にドレナージチューブを留置しようと試みた。しかし、胆嚢に明らかに壊死所見が認められた為、そのまま全身麻酔に移行して創切開を延長して開腹下胆嚢摘出術、という流れになった。この症例における年齢とSIRSの状態を考えたときにこの治療方針の流れはやむをえなかったものと考える。まとめSIRSの状態になっていた超高齢者の胆嚢捻転症を経験した。造影CTを中心とした的確な術前診断をおこない、胆嚢捻転症の根本は遊走胆嚢であるため、可及的速やかに胆嚢摘出術、全身状態が許せば、腹腔鏡下胆嚢摘出術をおこなうことが妥当であると考えられた。-37-