ブックタイトル2015鹿児島県臨床外科27巻
- ページ
- 40/78
このページは 2015鹿児島県臨床外科27巻 の電子ブックに掲載されている40ページの概要です。
秒後に電子ブックの対象ページへ移動します。
「ブックを開く」ボタンをクリックすると今すぐブックを開きます。
このページは 2015鹿児島県臨床外科27巻 の電子ブックに掲載されている40ページの概要です。
秒後に電子ブックの対象ページへ移動します。
「ブックを開く」ボタンをクリックすると今すぐブックを開きます。
2015鹿児島県臨床外科27巻
-36-Ⅳ胆・膵〔鹿臨外会誌27巻〕3.18Fig.2腹部造影CT術後経過は良好で術後2週間目に退院となった。Fig.2腹部造影CTFig.3開腹所見Fig.3開腹所見Fig.4切除胆嚢マクロ所見Fig.4切除胆嚢マクロ所見し、2超高齢者(91歳)でSIRSの状態であったので、局所麻酔下にて上腹部傍腹直筋切開で胆嚢ドレナージチューブを留置しようと試みたが、3胆嚢壊死の開腹所見により、全身麻酔下での開腹下胆嚢摘出術へ変更した。開腹所見(Figure3)で、捻転の度合いはGross分類のⅡ型であり、時計方向に360度捻転していた。捻転を解除した後は、胆嚢管および胆嚢動脈を結紮処理して、胆嚢を摘出した。胆嚢管および胆嚢床の剥離操作は必要なかった。手術時間は1時間5分で出血量は少量であった。摘出された胆嚢は、肉眼的に胆嚢壁の壊死を認めた(Figure4)。考察胆嚢捻転症は、1898年Wendel 1)が第1例を報告し、本邦では横山2)が1932年に第1例を報告し、以下本邦で236例の集計がある。胆嚢捻転症の先天的要因として、Gross1型;胆嚢および胆嚢管が間膜により肝臓に付着、Gross2型;胆嚢管のみが間膜によって肝臓に付着、がある3)(Figure5)。Gross1型の捻転例は180度以下の不完全捻転が多く、自然整復もある。Gross2型の捻転例は180度以上の完全捻転になりやすく、緊急手術の対象になる。本症例は時計方向に360度捻転しており、Gross2型であった。後天性要因としては、体位変換、排便、腸管蠕動、老人性亀背、内臓下垂などがあげられる。まず先天性要因として、異常な可動性を有する浮遊胆嚢が存在し、これにねじれを来たす後天性要因が加わり本症の病態が完成する、と考えられている。臨床所見では1無力性体質の老婦人2急激な上腹部痛3腹部腫瘤の触知4黄疸,発熱の欠如を特徴とするHainesらの4徴が知られている4)。自験例では123の徴候が合致していた。文献による報告例の内訳をみてみると5)Fig.5 Gross分類Fig.5 Gross分類-36-