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概要

2015鹿児島県臨床外科27巻

〔鹿臨外会誌27巻〕3.18Ⅳ胆・膵-35-Ⅳ胆・膵座長鹿児島市立病院中村登Table.1当科受診時血液検査胆嚢捻転症の1例義順顕彰会田上病院外科前田真一、萩原貴彦、高尾尊身はじめに胆嚢捻転症は比較的稀な疾患であるが、画像診断の進歩で術前診断される症例が増えている。高齢者に多い疾患であり急性腹症として緊急手術がよく行われている。今回われわれはSIRSの状態におちいっていた症例で緊急手術をおこなって救命しえた1例を経験したので、本邦報告例の臨床像を中心に、若干の文献的考察を加え報告する。WBC 15810/mm 3 ALP 202IU/lRBC4.1×10 6 /mm 3γ-GTP16IU/lHb12.1g/dl1g/dl AMY49IU/lHct36.7%BUN28.7mg/dlPlt10.5×104/mm 3Cr1.2mg/dlTP4.7g/dlNa139mEq/lT-Bil1.2mg/dlK4.7mEq/lD-Bil0.6mg/dlCl104mEq/lAST19IU/lCRP8.8mg/dlALT9IU/lLDH181IU/l Fig.1腹部エコーTable.1当科受診時血液検査症例患者:91歳、女性主訴:上腹部痛既往歴:心房細動、脳梗塞現病歴:平成26年1月、急激な上腹部痛があって前医受診。前医での造影CT検査で、胆嚢捻転症が疑われて当院救急搬送となった。入院時現症:身長154cm、体重38kg、BMI16.0、血圧72/-、心拍数128、体温38.5度、腹部所見は右腹部から心窩部への強い圧痛があった。筋性防御は認められなかった。入院時血液生化学検査(Table1):WBCとCRPの上昇が認められた。体温・心拍数・WBC・より、SIRS(全身性炎症反応症候群)の判定基準を満たしていた。Fig.1腹部エコー腹部超音波検査(Figure1):胆嚢は腫大し、胆嚢周囲に浮腫を伴う炎症性変化、胆嚢壁の肥厚が認められた。胆嚢は下方偏位し、肝床より離れて、右腎に接していた。腹部造影CT検査(Figure2):胆嚢壁に造影効果に乏しい所見が認められた。以上の所見より、胆嚢捻転症の診断とした。治療方針として、1遊走胆嚢であり抗凝固剤も内服中であった為、PTGBDは困難と判断-35-