ブックタイトル2015鹿児島県臨床外科27巻
- ページ
- 30/78
このページは 2015鹿児島県臨床外科27巻 の電子ブックに掲載されている30ページの概要です。
秒後に電子ブックの対象ページへ移動します。
「ブックを開く」ボタンをクリックすると今すぐブックを開きます。
このページは 2015鹿児島県臨床外科27巻 の電子ブックに掲載されている30ページの概要です。
秒後に電子ブックの対象ページへ移動します。
「ブックを開く」ボタンをクリックすると今すぐブックを開きます。
2015鹿児島県臨床外科27巻
-26-Ⅲ下部消化管〔鹿臨外会誌27巻〕3.18は改善(図3)、9病日目に行った上下部消化管内視鏡では異常所見は認めず、21病日目に退院した。初回発症より7か月後、11か月後に同様の症状が再発、同様の検査所見のため保存的加療を行い改善した。症例281歳男性、既往歴:咳喘息、前立腺肥大症、S状結腸憩室、現病歴: 15時ごろより左上腹部痛が出現し、症状が持続するため当院へ19時56分救急搬送された。理学所見:腹部平坦、軟。左上腹部に軽度の圧痛あり、筋性防御なし。検査所見:WBC 5500/μl, Hb 12.5g/dl, CRP0.03mg/dl, AST 30U/L, ALT 14U/L,BUN 12.9mg/dl, Cr 0.78mg/dl, CK 50U/L,LDH 410U/L。腹部単純CTでは腹腔内に遊離ガス像と左側腹部の小腸に壁内気腫を認めた(図4、5)。腹部理学所見と血液検査所見から腸管嚢腫様気腫症を疑い、厳重な経過観察のもと、保存的加療を行うこととした。また、問診より2か月前にも同様の所見で他院に入院、保存的加療されていたことも診断、治療方針決定の一助となった。前医での検査所見では同様に、血液検査所見に乏しく、CTで腹腔内遊離ガス像が多発していた。上部消化管内視鏡、注腸造影では粗大病変は指摘されなかったが、行われた小腸造影では、広い範囲にわたって大小の小腸憩室を指摘されていた(図6)。経過は速やかに症状は改善し、3病日目より食事を開始し、10病日目に退院した。図4図4.?入院時CT: CT:遊離遊ガス離像ガス多発。像多発図6前医での小腸造影:多発小腸憩室図5入院時CT:小腸壁内気腫考察腹腔内遊離ガス像の多くは消化管穿孔に伴い、緊急手術の適応を決定する所見の一つであるが、その中には、腹膜炎症状を欠き、緊急手術を要さず、保存的加療を行うことで改善する症例も見られる。今回経験した2症例は、腹腔内遊離ガス像の他に、小腸内の壁内気腫像を伴っており、腸管嚢腫性気腫症が疑-26-