ActiBookアプリアイコンActiBookアプリをダウンロード(無償)

  • Available on the Appstore
  • Available on the Google play
  • Available on the Windows Store

概要

2015鹿児島県臨床外科27巻

〔鹿臨外会誌27巻〕3.18Ⅱ上部消化管-23-1.00.8ypN0 (n=16)生存率0.60.4ypN1/ Grade2,3 (n=13)0.20ypN1/ Grade1 (n=15)P < 0.0001log rank test0 20 40 60 80 100 120 140術後月数図1原発巣効果/リンパ節転移別生存解析表1術前CRT後根治術施行例表2臨床病理学的因子における予後因子の検討図2原発巣効果/リンパ節転移別再発で45%、ypN1かつ原発巣Grade 1(n=15)は0%であった(図1)。再発は全症例の52%にみられ、ypN0には25%、ypN1かつ原発巣Grade 2、3は62%、ypN1かつ原発巣Grade 1では93%に認められ、食道癌の予後には、原発巣の奏効度より転移リンパ節転移の制御が重要であることが確認された(図2)。【考察】従来化学放射線療法の奏効度判定は、原発巣の縮小度によって判定されてきたが、それだけでは予後を反映した奏効度判定としては十分でなかった。今回の検討では転移リンパ節の転移状況を加味することによって、より詳細な予後予測を可能とする術前化学放射線療法の効果判定が可能であった。特に、ypN0症例の5年生存率が80%超であることは、食道癌の集学的治療における転移リンパ節制御の重要性を示している。それゆえ、術前精査により詳細なリンパ節診断が最も大切であり、特に超音波内視鏡による術前診断は最も精度の高い検査であり必須と考えられる(6)。今後の課題は、奏功度の低い症例に対する治療方法の検討および、頻度は少ないものの奏功例における血行性再発抑制であると思われた。-23-