ブックタイトル2015鹿児島県臨床外科27巻
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2015鹿児島県臨床外科27巻
-18-Ⅱ上部消化管〔鹿臨外会誌27巻〕3.18免疫染色において神経内分泌腫瘍のマーカーであるChromograninA染色において腫瘍濃染された。その他内分泌細胞微小胞巣(endocrine cell micronodule;ECM)や小カルチノイド多発認めた(図4)。↑↑↑↑↑ルーペ像chromograninA ーx10図4ChromograninA染色病理学的診断はmultiple carcinoid tumor,G1>G2 pT1,ly0,v0,n0,M0 stageIとなった。術後経過は良好で術後1か月目血清ガストリン;100 pg/mlと正常化。同じく術後1か月目定期観察上部消化管内視鏡にて吻合部近傍に発赤認め生検にてカルチノイドの診断。幽門洞切除後1か月しかたっておらず、さらなる内視鏡フォローが望ましかったが患者さんの意向にて残胃全摘施行された。術後3年無再発であったが他病死された。【症例1考察】消化管NETの手術術式は、原発臓器により異なる。Rindi分類に応じた手術適応と術式選択が推奨される。Rindiら1)によって3型に分類されている。I型:萎縮性胃炎による高ガストリン血症を伴うもの。II型:Multiple endocrine neoplasiatype I(MEN-I)Zollinger-Ellison Syndromeによる高ガストリン血症を伴うもの。III型:ガストリンとは無関係に発生するものである。Ⅰ型に対して内視鏡的切除困難なものは局所切除、高ガストリン血症の是正のためには幽門洞切除(antrectomy)を選択する。Ⅱ型に対して内視鏡的切除困難(6+腫瘍径>1cmあるいは個数≧6個)の症例に対しては胃切除+リンパ節郭清、十二指腸ガストリノーマの切除を施行する。Ⅲ型;肝転移なしの症例は胃切除+リンパ節郭清を行うが、肝転移あっても肝転移は、腫瘍減量効果が期待できる場合、肝切除術が推奨される。胃カルチノイドの悪性度についても胃癌と同等にリンパ節転移を認めており(前田ら2): smで13%,神田ら3): smで24%)、Soga 4)の報告でも全体の35.3%に転移を認め、リンパ節:71.6%・肝: 57.7%・肺に9.1%と続いており1cm以下でも6.7%に転移がみられ胃癌と同等の悪性度を有するとされている。Type1カルチノイドに対して、これまでに複数の治療法、ガイドラインが提唱されているが、有効な比較試験はなされておらず、また長期経過などについていまだ不明確な点もあり、症例ごとに、患者背景なども含め十分に検討し、慎重な対応を要すると考えられる。【症例】【患者】45歳、男性【主訴】なし【既往歴】22歳、外傷性の脊髄損傷。【現病歴】褥瘡にて形成外科入院中、発熱にてCT施行。下行結腸に腫瘍指摘。【来院時現症】特記事項なし。冠状断-18-