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概要

2015鹿児島県臨床外科27巻

-10-Ⅱ上部消化管〔鹿臨外会誌27巻〕3.18現病歴:2013年1月に近医で胃角小彎の2型胃癌を指摘され、当院紹介となった。検査所見:造影CTでは、多発肝転移を認めた(図1a)。内視鏡的生検標本のHER2免疫組織化学染色では3+であり、膜に強いHER2発現を認める細胞群が存在する一方、全くHER2発現を認めない細胞群も認められた(図2)。末梢血遊離癌細胞は陽性であった。図1造影CT及びEOB‐MRIabcd図1造影CT及びEOB-MRI図2生検標本HER2免疫組織化学染色強拡大像弱拡大像生検組織HER2発現は、heterogenityを認める。図2生検標本HER2免疫組織化学染色治療経過:XP-Trastuzumab療法を開始。1コース目にGrade1の消化器症状(嘔気)を認めたが、その後改善した。3コース目に全身倦怠感が増悪し、Grade3となったため、Capecitabine (Xeloda)とCDDPを減量した。この頃から末梢神経障害の症状が出現した。3コース終了時点でCT、GFにより治療効果の評価を行ったところ、原発、転移病変ともに著明に縮小し、PRであった(図1b)。7コース終了時の再評価ではさらなる縮小を認めたものの、肝転移は依然残存していた(図1c)。その後XP-Trastuzumab療法を継続していたが、11コース目から皮疹が出現し次第に増悪。皮膚科を受診し、薬疹が疑われ、13コース終了時点でXP-Trastuzumab療法を中止し、S-1単独療法に切り替えた。しかし皮疹は改善せず、5-FU系薬に対する薬疹と考えられたため、S-1を中止し、CPT-11単独療法に切り替えた。XP-Trastuzumab療法12コース終了時点での評価CTでは肝転移は造影によるviabilityの評価が困難なサイズにまで縮小を認めていた。図3に治療経過中の腫瘍マーカー(CEA、CA19-9)の推移を示す。XP-Trastuzumab療法開始直後から腫瘍マーカーは著減し、CPT-11単独療法に切り替えた後も腫瘍マーカーは減少を続けていた。CPT-11単独療法3コース施行後のEOB-MRIでは肝転移は消失しており(図1d)、FDG-PETで-10-