桜島爆発の日 大正3年の記憶 立ち読み

桜島爆発の日 大正3年の記憶 立ち読み page 12/18

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概要:
桜島爆発の日

早く錨をあげろ」と言っています。一旦上陸した人も急いで又船に乗り込みました。船はこのまま沖の方へ逃げろということで、私は必死に錨をあげ、すぐ四丁櫓で漕ぎ出しました。行先は谷山方面と決めしばらく行くと、今度は東側の瀬戸の上、鍋山付近に噴煙が上がりました。人々はうろたえました。噴煙はぼかし綿を繰り出すようにモク、モクと天にも届けとばかりに噴き上がります。それと同時に、噴石が女の子のお手玉のようにはねあがり、噴く石と落ちる石とが衝突して白い煙を引いて落下します。それに加えて雷が鳴り、稲妻の閃光が走りその音と光と噴煙で、もうこの世もこれまでかと思われました。 私たちは男も女も老人も、力の限り漕ぎました。38